2011年5月25日水曜日

PCT出願、中国企業がパナソニックを抜く(2011年1月~3月)

WIPOによると、中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)が935件で、昨年の通年1位のパナソニックを抜いてトップとなったとのこと。PCT(国際特許出願)以外にも、各国に特許を出願する方法がありますので、これでトップでも、世界で出願数が一番多いとは限りません。とはいえ、PCT出願数による判断は、統計が簡単ですので、判断の有効な目安になるでしょう。日本勢も頑張りたいですが、出願数が適正化してきているという意見も聞きます(外部リンク)。

2011年5月23日月曜日

Facebookの「いいね!」が、検索順位に影響を

Facebookでは、記事やブログに対して、「いいね!」というボタンを押すことができます。つまり、この記事がよい、という意思表示を、読んだ人が簡単に入力することができます。この「いいね!」の数が、Bing(マイクロソフトの検索システム)の検索結果に影響をあたえるようになるようです。これで、「いいね!」を押す、モチベーションになるかも?Googleは、まだ対応していないとなると、Facebookユーザは、Bingに移行するのかも?(英文記事は、こちら

2011年5月20日金曜日

SNS時代に企業情報を、どうコントロールするか?

「OPEN LEADERSHIP」日本語の題名は、フェイスブックと書いてありますが、
企業にとってSNS時代のオープンとはなにか?について書かれています。
ツイッターやFacebook・・・流行っていますよね。私も、SNSは自信がなかったこともあり、長く敬遠していましたが、最近はじめてみました。

ご存知のとおり、一人の顧客が自社のサービスや製品のクレームをツイッターでつぶやいたら、その会社の失態は世界中に知られてしまいます。そうすると、企業は一人ひとりの顧客に対して、誠心誠意で付き合わなければ、営業成績が落ちたり、企業イメージが悪くなるといった、大変なことになってしまいます。

これは、ツイッターというツールならではの効果かと思うのですが、人類には、「王のジレンマ」とよばれている、ちょっと似たような事例が遠い過去にあるようです。

印刷機が登場するまでは、教育は、一部の特権階級の人に限られていました。この教会や貴族などの特権階級の人々は、印刷機の登場により一般市民が字を読めるようになると、今の地位に不満を感じて、反抗するのではないかと考えました。つまり、一般市民に、本を読ませ、啓発させると、王は地位を失ってしまうから、印刷機を普及させないほうがよい?ということになります。しかし、人々が本を読み、考える力は強力な欲求であり、王が抑えることができませんから、印刷機の普及を弾圧する力は、かえって、王にとって良くないと思われます。

ツイッターでいえば、ツイッターで自社のことを悪くいうことを弾圧したり、ツイッターそのものを悪く言うのは、効果的ではない・・ということでしょうか。

もちろん、王様だって、人々に本を読ませると、すぐには、王政が覆ることはないでしょう。しかし、知識を得た一般市民が、自分たちの社会を作ったことは言うまでもありません。

それでは、会社は、どうなるのか?

ユナイテッド航空を利用したギター弾きデーブキャロルが、シカゴの空港で、自分のギターを放り投げていることを目にする。当然、ギターは壊れ、修理代1200ドルであった。キャロルがクレームをユナイテッド航空に言っても、とりあってくれない。そこで、キャロルは、このことを歌にして、Youtubeに投稿しました。すると、この再生回数は100万回を超え、ユナイテッド航空の広報担当が彼に謝罪をしたようです。

ツイッターを武器に、一般市民は、大企業を相手に戦うことができるようになりました。そうすると、会社は、どうしたらよいのでしょうか?

常に、誠実に顧客に向かい合うしかない、のでしょう。

つまり、客観的に会社のよくない情報を隠して、オープンになることに避けることに全力を注ぐのではなく、そもそも、その客観的によくない情報を生み出さない企業を目指すということを、この本では、提案しています。

そうすると、企業は、自ら、客観的に顧客にとって良い会社にならざるを得ません。いわゆる、企業論理(ギターは投げたほうが、丁寧に運ぶより従業員の手間がかからず、短時間で運べる)・・というものよりも、顧客論理(大切なギターだから、丁寧に運ぶ)が優先される会社になります。自浄するといえばよいでしょうか。

SNSにより、顧客にとって良い会社が増える・・ようにも思われます。


SNS時代に企業情報を、どうコントロールするか?

それは、企業情報をコントロールしなくても、何を言われても、顧客信頼度を失わない態度と、姿勢なのだと思われます。

(OPEN LAEDERSHIP:「フェイスブック時代のオープン企業戦略」(著シャーリーン・リー:「朝日新聞出版」」)は、非常に参考になる本かと思いますが、SNSを体験してから読まないと、感覚として、理解が難しいかなと思います。しかし、上記の紹介は、ほんの一部であり、今の時代に情報をオープンにするとは、どういうことなのか、この状況でのリーダーシップのあり方は?という点で、数多くを教えてくれるように思いました。)

2011年5月4日水曜日

アイデアが生まれるとき パート2:知識創造の4つのモード

「知識創造の方法論」より引用 東洋経済新報社 著:紺野登氏、野中郁次郎氏

アイデアが生まれるとは、どういうふうに脳が活動するのでしょうか?パート1に引き続き、右脳、左脳の考え方から経験的に検証してみたいと思います。

技術経営(MOT)の分野で、世界的な第一人者と呼ばれている、野中郁次郎先生は、知識創造が生まれる一般原理というものを提案されています。

先生の提案は、私が以下に説明する以上のものであることは、言うまでもありませんが、一つの拙い解釈及び拡張として、ご覧いただければ幸いです。

第一に、ニュートンがリンゴを落ちるのを見て、「力は、質量×加速度と等しい」というニュートンの第二法則を見出すという、知の創出があります。これは、暗黙的に、重い物が落ちると、その重さに比例して、加速度が増す・・という経験的な現象についての知(暗黙知:右脳の知識)から、「力」という概念を導き出し、言語からなる論理及び、数式からなる論理(形式知:左のうの知識)を導き出すことと言えるでしょう。

これを、「知の表出化」と呼び、知識創造の一つのモードであると提案しています。これは、暗黙の彼方にある概念を追求することで表出される知ということで、哲学では、「プラトン」の考え方に相当します。

第二に、ニュートンの第二法則を利用して、コペルニクスが地球の自転や公転についての知を創出しました。これは、すでにあるニュートンの第二法則という形式知に対して、形式知を体系的に結びつけて、新たな形式知(太陽中心説:地動説)を生み出しました。

これを、「知の連結化」と呼び、知識創造の一つのモードであると提案しています。これは、表出化された概念を再構成していくプロセスで、分析の知であり、哲学では、「デカルト」の考え方に相当します。

第三に、職人の技能やスポーツにおいて、やり方を言葉で聞いて、理屈では分かっているけど、身体的にそれができないことがあると思います。この場合、理屈である形式知から、身体的にその技能を取り入れようとする暗黙知を生み出すという行為になります。

これを、「知の内面化」と呼び、知識創造の一つのモードであると提案しています。これは、表出化された概念を内面化(暗黙知化)していくプロセスであり、哲学では、「デューイ」の考え方に相当します。

第四に、言葉で伝えなくても、職人やケンシロウのように、師匠が弟子に技能を継承していくような、暗黙知の共有、獲得、増幅という知の創造があります。企業におけるOJTもそうで、理屈を言わなくても、一緒に作業をすると、暗黙的に伝わる知識です。

これを、「知の共同化」と呼び、知識創造の一つのモードであると提案しています。これは、暗黙知から暗黙知を共体験して伝えるプロセスで、哲学では、「西田幾多郎」の考え方に相当します。

先生は、これらのモードが図に示すように、循環的に入れ替わって、さらに、螺旋的にも、知識が創出されると提案されています(SECIモデル)。


実際には、これらの知の創造モードの一つ一つが複合的に用いられて、想像される知識が、強力なアイデアになることが多いような気がします。

長々と説明してきましたが、本題に戻りましょう。

我々が、一般的に、アイデアが生まれる!と呼んでいるのは、どの知識創造のモードに合致すると思いますか?

私は、パート1で説明した、右脳と左脳の出会いというのは、暗黙知から形式知への表出化が、アイデアを生む!と言っているのではないかと思います。

つまり、第一のプラトンの考え方ですね。

そうしますと、アイデアを創出する(形式知を表出化する)ためには、バックボーンとなる、たくさんの暗黙知がなくてはなりません。

ですから、いろんな経験をしている人がアイデアが豊富だったりしますよね。子供のうちも、机にむかって勉強ばっかりやっていないで、外で思いっきり遊んでいたほうが、後に大成するることもあるでしょう。それは、このように豊富な暗黙知が、イノベーティブなアイデアを創出すると言えます。

まずは、ガッツリ遊んで、いろんな経験をするのが、アイデア創出に大事なのかも?

もちろん、必要なアイデアに、あまりにも関係ない経験をしても暗黙知の蓄積にはならないかもしれません。

しかし、一見、関係ないものを、素人的に素朴に結びつけることで、イノベーションに結びつくことも多々あるようです。したがって、アイデアを生みたい分野の、ちょっと広めの周辺知識(暗黙知)や現在の時代の流れに関する暗黙知を持っていることが、アイデア創出をうまくやるコツかも知れませんね。

これで、アイデアが生まれるときの脳の活動については、終わります。

次回は、このような個人のアイデアを、経済活動を生み出す主体である企業がどのように利用すべきかについて、考えていきたいと思います。