2012年4月4日水曜日

成功するブレインストーミング

「何でもいいから、仕事で思いついたことをあげてくれる?」

「しーん・・・」静寂、静寂・・。

例えば、オフィスでブレインストーミングをするときに、こういう会話って、ありませんでしたか?

このような会話の後の結論は・・・、ブレストって、あまり、意味がないよね・・・・という結論ではないでしょうか。

これは、ブレスト自体がわるいのではなくて、ブレストのやり方がよくないのでは?と考えます。弊所は、事務所名が、SOCIDEA(ソシデア:SOCIAL+IDEAの造語)としているぐらい、集団思考に興味がありまして、経験上、気がついていることを提案させてください。

「ブレインストーミング」という言葉は、Wikipediaによると、「集団思考」と訳されています。すなわち、複数の人間で考える方法なわけです。

インターネットによる情報格差がなくなっている昨今では、個人のアイデアのみでは限界を迎えている傾向がありますよね。複数人のアイデアを足しあわせたり、融合する集団思考により、企業の製品やサービスのレベルを上げていくことは、競争に勝ち残る近道の1つといえるでしょう。そいういう意味で、企業の経営者はブレストをしたがるわけです。


「何でもいいから、仕事で思いついたことをあげてくれる?」と、上司が、司会となって進む、ブレスト。

さて、このブレストの参加者の心理を覗いてみましょう。参加者である部下の山田くんは、おそらくこう思うでしょう。

「何でもいいからって、漠然すぎて、思いつきにくいなあ。」

「ちょっと考えならあるけど、たぶん、発言しても、発想の乏しい奴って思われるし」

「何より、自分の仕事が増えるだけだから、何も言わないでおこう。」


そうですよね。ブレストに、ノルマはありませんから、下手な発言をして、自分の評判を落とす必要は無いですし、仕事を増やす必要もありませんから、発言はしない。参加者の心理としては、論理的に間違っていません。


このようなブレストのジレンマを打開するために、以下のような手を打ってみるのはいかがでしょうか。


1★最初の聞き方に気をつける

「中身がこぼれない自転車用のカップホルダーについて、提案してくれないか?」と聞くのと、

「自転車に乗る人が、こぼしたり、舌を火傷せずに、コーヒーを飲めるようにする方法って、あるかな?」

って、聞かれた場合、どちらが、あなたは、返答しやすいですかね?

前者よりも、後者の方が、具体的に自転車に乗りながら、コーヒーを置いたり、飲んだりする自分をイメージしやすくないですか?イメージしやすければ、そのときの状況がみえてくるので、カップがこうだったらいいなあ、とか、こうであって欲しいけど、こういう課題があるような・・という具体的な意見が出てきませんか?つまり、最初の質問者は、参加者にイメージしやすくする質問を検討しておく必要があります。

2★提案してもらうアイデアの範囲を狭めない

そして、前者の例であれば、参加者は、「カップホルダー」について考えが限定されてしまいます。一方、後者では、方法ってある?という提示なので、参加者は、「カップホルダー」以外の提案もすることが可能であり、提案するアイデアの幅を狭めません。

新しいカップホルダーの提案をしてもらうのに、提案する前のカップホルダーで考え始めてしまっては、そこから、イノベーションやインベンションは、生まれにくいですね。

3★上司が司会をしない

結局、自分に仕事が回ってくるから、思いついたことを、言わないようにしよう。これが、正直な参加者の本音だと思います。参加者は、単なるサラリーマンですから、同じ給料なら、仕事が少ないほうがよい・・という発想でしょう。となると、言わないほうが、得という、論理が働きます。そこで、アイデアを言った人が、実現する担当にはならないことを明言しましょう。そして、上司が司会をするのは、やめましょう。司会をやっていると、ブレスト後に、仕事が回ってくるのではという恐れが出てしまい、発言自体が、減ってしまいます。

また、上司の顔を見ながら、ちょっと自信がないアイデアも言い難いものです。

4★出てきたアイデアの分類をする

どうしても、ブレスト中に、話がずれてくる場合があります。しかも、話していること自体が気持ちよくなる参加者がいて、全く関係ない話になることもあります。ですので、出てきたキーワードが、前のアイデアとどのような関係なのか・・。アイデアが進んだ?後退した?関係ない?新しいバリエーション?上位概念?下位概念?という分類を、ブレスト中に行ってみましょう。そして・・

5★分類したアイデアを位置的に配置する

分類したアイデアを記載したキーワードを、所定の位置に置きましょう。そして、関連のあるキーワードは、近くにおいたり、関連がなければ、遠くに置きましょう。そうすると、集団から出たアイデアの関係や所在を、見える化することにより、出てきたアイデア全般を明確にして、議論の焦点を、参加者全員に把握させて、さらなる、意見を集めましょう。これにより、話が難しくなってきたからいいや、とか、なんかわからなくなってきたら言うのやめようとかいう、参加者の考え方をできるだけ排除します。

また、人の記憶は、位置と密接な関係がありますので、位置により、前の議論を呼びさますことが可能にもなります。


いかがでしょう。

あなたの会社のブレストを、少し見直してみるきっかけになれば、大変嬉しく思います。


無印良品で、壁掛けのCDを見たことがりませんか?このようなアイデア商品を生み出している、IDEOという会社のゼネラル・マネージャーが、上記のブレストのルールの基礎を提案しています。少し、私の方で、このルールを発展してみました。さらに詳しい内容は、以下の本を参照ください。お薦め本です。「The Art of Innovation 発想する会社 著:トム・ケリー (早川書房)」)

0 件のコメント:

コメントを投稿