2013年7月7日日曜日

地方の企業コーディネータとしての弁理士

福祉用の椅子をみんなで意見交換!
(宮崎みらい創造研究会 定例準備会より)
仮に、1週間に3人の経営者の方と出会っていると、1ヶ月で15社。年間で、180社。10年間で2000社近く、知り合うことができます。

宮崎には、弁理士は事実上、5人程度しかいません。ですので、私のところには、1週間に3人は多いかもですが、私のところに集まる名刺は、昨年だけでも200枚以上になっています。これは、私が特別であるということよりも、宮崎は知財の専門家が圧倒的に少ないからだと思います。

しかし、このように企業の情報が集中するということは、これを利用して、地方の企業のマッチングやコーディネートができるのでは、という視点で昨年から、企業のマッチング支援に動き出しました。

当然、我々は、技術経営やものづくりの専門家ではありません。しかし、単純に、自分の知りあっている企業を紹介するだけでも、その企業の発明を次のステップに進めることができるのは、ということを感じています。


先日、延岡で福祉用の椅子をスチールで作っている精板会社がありました。一方、宮崎から車で30分ぐらいの国富で、移乗機能を持った椅子を、木で作っている会社がありました。これらの会社は、それぞれ、実用新案や特許を申請するために、私の事務所に依頼していただきました。当然、私は彼らを知っていますが、彼ら同士はお互い知りあっていません。


また、これらの会社の商品は、同じ発明ではなく、競合することもありませんが、大枠の技術分野は関連しています。ですので、技術交流があれば、さらに、お互いのものづくりが進むはずだなということが直感できます。

両者ともに、無事に出願申請が終わった段階で、彼らは、こう言います。


「さらに、この発明を次のステップに進めるにはどうしたらよいですか?」


例えば、この場合は、僕らは、福祉用椅子の技術分野の専門家ではないので、素人目線での指摘はできますが、もっと高度なアドバイスは、専門家同士が意見を交換すべきです。


「それなら、先日、福祉用の椅子に関連した分野のXXさんと出会ったので、紹介しましょうか?」


その後、飲み会を経て、知り合った後は、紹介した僕を離れて、お互いの密な交流が始まりました。しばらくして、国富の方は、木にスチールも加えた移乗用椅子をさらに、改良されて作られました。つまり、お互いの交流がものづくりを次のステップへ進めたのです。

このように、弁理士が、ちょっとした、ものづくり支援の活動を行うことで、本来の知財サービス以外にも、弁理士って役に立つよね、と発明者に感じてもらうようになるなあ、と思っています。

つまり、発明や新製品で、次のステップに進みたいのなら、弁理士事務所に行ってみようかな・・、というような発想です。

実際には、発明は、発明の数だけ専門分野があり、弁理士と言えども、全ての専門性を備えることは不可能です。しかしながら、地域の専門性のある企業を結ぶつけることができるコーディネータであれば、弁理士でも可能であり、弁理士に相談すれば、近所で同じようなことを考えている人を紹介してくれる・・と思ってもらえれば・・。

「製品を次のレベルに上げるには、人との出会いが必要だ。」

と言っていた発明家もいました。次のレベルに上がれば、社会で成功する確率も高まりますし、あらたな知財を産み出す可能性も生まれます。

この、人との出会いを演出できるのが我々の役割の一つでもあるのでは、と感じています。

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