2012年3月11日日曜日

顧客満足度を超えた視点とは

今の商品開発には、なにより顧客満足度が重要です。

マーケティングをしてから、商品開発をしないと、顧客のニーズが確かめられません。


このように顧客目線が重要というのは、現在のビジネスでは、誰も疑わない鉄則の一つと言えるでしょう。

つまり、企業論理ではなく、サービスや商品の利用者である顧客の目線で、商品やサービスの質を検討することは、ビジネスの成功において大事な視点です。

しかし、この視点だけでよいのかな?という疑問を持ったことはありませんか?

私は、特許という、一般人には、馴染みがないサービスを提供しているために、顧客満足だけでは、なにか視点が足りないのではないかと考えていました。


これに対する答えを、最近、本で見つけましたので、ご紹介させてください。

ホテルで、ミートローフをお客に出したときに、ウェイターが、「お味は?」と客に聞いた時に、「うん、いいよ」と顧客は答えるでしょう。しかし、普通、人は、好き好んで面白くない一日を過ごそうとする人なんていないのだから、ちょっとぐらい美味しくなくても、まあ、問題ないと答えるもので、それが人間の本性でしょう。

つまり、ホテルで「上品な受け答え」をしたさいの情報は、何の価値もなく、意味もない。つまり、客たちは、食べるのが好きかもしれないが、料理評論家ではないし、ミートローフを評価する責任者でもないのです。

ビジネスの世界でも、顧客は語彙が足りないか、物を見る目を持たないせいで、何が悪いのか、説明できないかもしれない。

このような場合は、企業は、顧客に、商品やサービスについて、たずねるべきではないのだ。


ここまでが本の内容なのですが、自分にとっては、なんだか、大事なことに気が付かせてくれたように思いました。私は、特許や知的財産のサービスを、地方である宮崎で提供しているのですが、残念ながら、宮崎は、知財意識が低く、知財に対するリテラシが高いとは言いがたいです。そのため、自分のサービスは、普通に努力して、仕事をしていれば、お客様にある程度の満足をしていただくことができます。

しかし、お客様が特許のサービスを知らないから、私が至らない点でもやり過ごせてしまうことがあるとも言えますし、宮崎の人は人柄が良いので、サービスがよくわからないけど、良いことにしてもらっているという面もあるかもしれません。例えば、都内の大手企業の知的財産部であれば、細かく指摘してくれる点も、宮崎の個人のお客さまであれば、指摘することはできません。そうなると、私のサービスレベルは、どんどん下がる可能性も否めません。

顧客が知らないからこそ、自分自身で、一番の商品・サービスを追求し続けよう。

これが、原点になくてはいけないのですよね。当たり前かもしれないのですが。

サービスレベルが低くても通用するから、地方で甘んじているのではなく、自分自身が強く自分の商品・サービスの質を追求できるから、顧客からのチェックが甘い地方でも、責任をもって、業務を行える。

そんなふうに、地方の専門家はあるべきなんだと自覚しました。

(書籍の名前は、The Art of Innovation 発想する会社:著トム・ケリー 早川書房)