2012年12月24日月曜日

知的創造活動を取り入れた企業作り



アップルが、
イノベーションで最も活躍した企業の一つであることは、誰もが認める。アップルの成功の源は、先日、亡くなったスティーブ・ジョブズの創造性とリーダーシップであろう。アップルという創造的な企業は、どの経営者も憧れ、模範としたい企業と言える。経営者にとって、どのような企業であるべきか?と問う場合に、アップルのようなイノベーションが起こせる企業を目指そうと考える経営者も多い。

 それでは、今後のIT経営者は、スティーブ・ジョブズのように、強烈な創造性とリーダーシップを兼ね備えた経営者にならないと、イノベーションを起こす企業にはなれないのでは?と考えるのも当然である

 経営者にとって、リーダーシップは、なくてはならない。しかし、強烈な創造性は、自社製品を誰よりも知っている、貴社の全社員の”知”を利用してみてはどうだろうか。

 会社の製品は、自社の様々な部署の者が、異なる立場から、毎日、真剣に頭を悩ましている。例えば、営業部であれば、いかにして売れるかという視点で、技術部であれば、いかに品質がよく出来るかという視点で、カスタマーサポートから見れば、いかにしてお客様に使いやすいかという視点で、部署によって多面的に捉えられているはずだ。

 これらの自社内の知を融合して、経営に役立つ知に変換できているならば、スティーブ・ジョブズほど高い創造性がなくても、経営のヒントになる”知”は、自ずと見えてくる可能性があるのではないだろうか。

 つまり、自社内の”知”を活かす企業内の製品知を活かすシステムづくりこそが、天才的な創造力を一人有するよりも、イノベーションを実現できる企業になるのではないかということを提案したい。

 米国のIT企業では、このような製品知のヒアリングを、企業の外部の弁護士や弁理士に依頼している場合がある。製品知のヒアリングは、部署間の力関係や、部署内の人間関係に依存してしまうことが多いため、外部の人間であって、しかも、発明や特許の取扱いに詳しい弁護士や弁理士に相談できることは、末端のエンジニアにとっても、相談しやすいのであろう。

 天才がいればイノベーションができる、と安易に考えるのではなく、その天才にも匹敵する“知”を企業のシステムとして作っていく。知を活かす企業であるならば、そんな企業作りが求められているのではないか。